大木光の代名詞と言えば、雨・湿走路での鬼の強さだろう。直近180日の湿走路の戦績は8戦5勝、車券を外したのは1回のみ。これでも大木としては物足りないと思わせる戦績で、雨・湿走路では水を得た魚のように、インコースからぶっちぎりの走りでファンを魅了するのが、大木光というレーサーだ。
大木が雨の鬼と呼ばれるようになったのは、師匠である牛澤和彦のアドバイスのおかげ。牛澤自身、湿走路をイン走法でぶっちぎる湿走路巧者。師匠のアドバイスもあり、大木光は湿走路で最短距離のインコースを使い、最速のスピードで走るようになった。牛澤の弟子でなければ、「雨の鬼」大木光は誕生しなかっただろう。
川口オート所属の大木は生粋の川口(西川口)育ち。高校までは甲子園を目指す野球少年で、野球人生から培った「気合」がオートレースでも原点になっているという。雨・湿走路での鍵は「気合」という選手も少なくないが、大木が雨で強いのは「気合」の賜物(たまもの)だ。
現行ランクはS級17位で、良走路でも全国上位の力を秘めている。2008年には川口オートの「開設記念グランプリレース」でG1初制覇。通算優勝は7回と少ないが、条件さえそろえば大舞台での活躍も期待できるポテンシャルを秘めている。
近況は可もなく不可もなくだが、雨走路ならSG制覇も!
普通開催が続いているとはいえ、大木光は近況、まずまずの結果を残している。2021年は23戦して7勝、2着6回で、連対率は約57%。エンジンの仕上がりが不安定な中での成績だけに、大木の持ち味である「気合」が見て取れる。
どうしてもグレードレースとなると格負けしてしまう印象はぬぐえないが、その壁を突き破るには、大舞台で結果を残すしかないだろう。今年最初のSGである「全日本選抜オートレース(浜松オート)」が、大木のレーサー人生を変える舞台になるかもしれない。
「運も実力のうち」と言うが、全日本選抜の要所で雨が降るようなら、大木が一躍脚光を浴びることになる。昨年、悲願のSG制覇を成し遂げた森且行もそうだが、日々、人知れず努力を重ねている大木光が、栄冠を手にするチャンスは十分ある。