佐藤摩弥と言えば、全国でも1、2位を争うスタート力が最大の武器と言える。たとえマシンの状態が悪くても、スタートだけは決める速攻派。エンジンが仕上がっていると、とてつもない破壊力で独走態勢に持ち込んでしまう。整備力、スタート力、ハンドルテクニック。このどれか一つでも抜きんでていればS級での活躍は可能だが、佐藤のスタート力はそれほど半端ではないということだ。
最近では追い上げるテクニックも身に着けてきた。さすがにSGクラスの実力者を抜いていくのは簡単ではないが、一般戦なら最重ハンから水を得た魚のように前を抜いていく。安定感という面で、年々底力を上げていると言ってだろう。
ここ一番での強さも魅力で、2016年の川口記念と今年の若獅子杯争奪戦（飯塚）でG2レースを2勝。また2018年には「G2格」の「スーパースターシリーズ戦」をコンマ01の弾丸スタートで逃げ切り優勝。直後のスーパースター王座決定戦をしのぐ、上り3・339をマークし、ファンを驚かせている。さらに2019年には、女子で初めて「スーパースター王座決定戦」に進出。「サトマヤ」のニックネームでファンの支持を集める最強女子レーサーの進化は止まらない。
近況リズム上昇でSGタイトルも視野に
今年は9優出3Vとリズムは上々。特に直近3カ月では30戦して【9・6・5・10】と、連対率で5割をキープしているのは立派だ。特にここ10走では1着5回、3着3回で、車券を外したのは2回のみ。スタートも、たまに遅れるシーンはあるものの、トップスタートで飛び出すことが断然多い。佐藤の非凡な決め手は、全国トップの男子レーサー相手でも魅力だ。
スーパースターは2大会連続2回目の出場。昨年に続き、まずは頂上決勝の舞台である、スーパースター王座決定戦の進出を目指す。周囲のアドバイスもあり、エンジンはいい状態をキープ。あとは、自慢の弾丸スタートを放ち、いかに長丁場を逃げ切るかという点に尽きる。女子レーサーのレジェンドから、オート界のレジェンドに脱皮するシーンも夢ではないだろう。
