佐藤貴也と言えば、オートレース界でも屈指の速攻力を秘める実力者として存在感を放っている。2003年7月のデビューから4年目の2007年にG1レース(秋のスピード王決定戦=浜松)を制し、2018年のオールスター・オート(飯塚)で悲願のSG制覇を達成している。
そのオールスター・オートも0ハン8車の6号車からトップスタートを放ち、篠原睦、高橋貢、中村雅人、青山周平らの競り合いも味方に10周回を逃走。最後まで後続に詰め寄られていただけに、佐藤の持ち味の速攻力がもたらしたSG制覇と言える。
日頃からあいさつを欠かさず、取材にも真摯に応じるなど、オートレーサーとして一流なだけではなく、人間性も文句なく、誰からも愛されるナイスガイ。SGタイトルは1個のみだが、G1タイトルとG2タイトルを各4個ずつ獲得しているように、金子大輔、早川清太郎、丹村飛竜、青木親治ら実力者の少なくない29期の代表格として、今後もオートレース界を引っ張っていく存在となるだろう。
群雄割拠の浜松で存在感を示すか!?
グレードレースのタイトル獲得は、2019年の山陽「G1 平成チャンピオンカップ」が最後になっているが、近況も随所で速攻力を発揮。とはいえ、絶好調時に比べてマシンの仕上がり具合は一息で、勝ち切れないレースも増えてきた。
ここ半年の良走路の戦績(2021年2月2日現在)は52戦12勝(勝率23%)とひと息で、連対率は40%、3連対率も52%と、消化不良の感はぬぐえない。とはいえ、雨走路に強いのも佐藤の持ち味のひとつで、近半年の湿走路の勝率は36%、3連対率は64%と信頼度はグッと増す。天候に左右されないのも、佐藤の強みと言っていいだろう。
また、層の厚い浜松所属のライバルたちに、日々刺激を受けているのは間違いないだろう。浜松には、スーパースターの鈴木圭一郎を筆頭に、同期の金子大輔、先輩の伊藤信夫、木村武之らSGタイトルホルダーが勢ぞろい。特に、同期の金子大輔が昨年末のスーパースター王座決定戦(7着)に進出するなど、大一番で活躍する姿に燃えない訳はない。自慢の弾丸スタートから、後続をぶっちぎる本来の走りが戻るようなら、2度目のSG制覇も燃えてくる。2021の佐藤貴也の走りに注目だ。