2000年台半ばから一気に素質が開花し、ブレークしたのが田中茂だ。2005年に「共同通信杯プレミアムカップ(山陽)」と「ダイヤモンドレース(飯塚)」のG1レースを2勝。翌2006年には、日本選手権、オートレースグランプリ、スーパースター王座決定戦と年間SG・3勝を挙げ、最優秀選手に選ばれた。
2008年にもSGの日本選手権を制し、通算SGタイトルは4勝。グレードレース15勝のうち、2005~2009年の5年間で14勝していることからも、いかに田中茂の勢いがすごかったかが分かるだろう。
2010年以降のグレードレース勝利は、2017年の飯塚オート「G2 オーバルチャンピオンカップ」の1勝のみ。全盛期の勢いこそないが、44歳の現在もS級の強豪(現ランキングはS級22位)として、随所でテクニシャンぶりを発揮。いぶし銀の追い込みは、まだまだ健在だ。
昨年の2020年には、2期上の伊藤信夫が13年ぶりにSGを制覇。今年50歳を迎える「レジェンド」の高橋貢も、今年1月の「G1 開設記念レース(飯塚)」と2月の「G2 レジェンドカップ(伊勢崎)」を勝つなど、復活をアピールしているだけに、田中茂もこのままでは終われない。2000年台を席巻した、闘志あふれる田中の走りを期待だ。
近況不振も、底力は侮れない
高橋貢の優勝で幕を閉じた前節の「G2 レジェンドカップ」は、2、3日目に2着と気を吐いたが、準決勝で4着に敗れ、惜しくも優勝戦進出を逃した。現役オートレーサーを代表する「レジェンド」の1人だけに、残念な結果だったと言える。
直近180日の戦績は50戦8勝と勝ち味に遅いが、2連対率は42%、3連対率は60%とファンの車券には貢献。雨、湿走路は決して得意とは言えない田中茂だけに、近況はまずまずの内容と言えるだろう。
2021年2月16日現在、通算勝利は743勝、通算優勝は47V。まずは節目の800勝、50Vを目標に勝ち星を刻んでいく。最後まであきらめない走りが田中茂の真骨頂だけに、4年ぶりのグレードレース制覇、13年ぶりのSGレース制覇を楽しみにしているファンは少なくない。